返済が厳しくなってもあわてない。『再起支援借上げ制度』とは?

返済が厳しくなってもあわてない。『再起支援借上げ制度』とは?

住宅ローンの返済困難を立て直す『再起支援借上げ制度』

無理が無いように組んだ住宅ローンでも、会社の業績不振による給与減やボーナスカット等により、突然返済が困難になってしまうこともあります。

法律事務所に持ち込まれる住宅ローン関連の相談でも、このような収入減やリストラ等により、住宅ローン返済が困難になってしまったという案件が非常に多いです。

通常、住宅ローンの返済が困難になって生活費も苦しくなってくると、銀行等のカードローンを利用したり、消費者金融で借り入れをするようになり、収入の増加が見込めなければ、そのまま借金だけが増えていってしまいます。

こうなってしまうと、せっかく手に入れたマイホームを手放すことになったり、個人再生という法的手続きをとることになったりすることもあります。

このご時世、収入の減少やリストラのリスクは、他人事ではありません。

マイホームを一時的に賃貸して家賃収入で住宅ローンを返済

この『再起支援借上げ制度』は、そのようなリスクに対応し、もしもの時にマイホームを守るための制度です。

基本的には、以前に記事にした一般社団法人移住・住みかえ支援機構(略称:JTI)の「マイホーム借上げ制度」と同じですが、「再起支援借上げ制度」利用時は、通常のマイホーム借上げ制度利用時の「50歳以上」という年齢制限がなくなります。

つまり、収入減などにより住宅ローン返済が厳しくなった場合は、年齢にかかわらず、マイホーム借上げ制度を利用して、家賃収入を住宅ローン返済に充てることができるようになるのです。

マイホーム借上げ制度によるマイホームの転貸は、期間3年の定期借家契約ですので、収入の状況が改善したら、最長でも3年後にはマイホームに戻ることができます。

住宅金融支援機構の制度が変更

通常、住宅ローンは自分が居住することが前提となっておりますので、よほどの事情が無い限り、マイホームの賃貸は認められません。それに対し、住宅金融支援機構の住宅ローンについては、返済困難者対策の一環として、事情を問わず住所変更届を出すだけで転居が認められるように変更されました。

これにより、収入減などにより住宅ローン返済が困難になった場合、収入の状況が改善するまでマイホームを賃貸し、その家賃収入で住宅ローン返済を続けることが可能となったわけです。

民間の銀行の住宅ローンでは、まだ簡単には認められないようですね。

返済が厳しくなってきたら「再起支援借上げ制度」

住宅ローンの返済が厳しくなってしまっても、大半の方はマイホームを手放したくないはずですし、法的な手続きまでは取りたくないはずです。できることなら、状況が改善するまで賃貸に出して、なんとか返済を続けたいと考える方も多いかと思います。しかし、一般の不動産業者を利用した賃貸(普通借家契約)の場合、マイホームに戻りたくても賃貸契約を解消することが難しく、空き家になってしまった場合は家賃が1円も入ってきません。

これに対し、「再起支援借上げ制度」は、3年毎の定期借家契約ですので、3年毎に確実に契約終了の機会があり、空き家でも一定の家賃が保証されております。

返済が一時的に厳しくなった場合、ご実家など一時的に転居できる場所がある方は、あわてて売却する前に、再起支援借上げ制度のご利用を検討する価値があると思います。

再起支援借上げ制度の利用条件

以前の記事で紹介した「かせるストック(移住・住みかえ支援適合住宅)」の家については、個別相談は不要となっておりますが、その他の一般の住宅につきましては、次のような利用条件がございます。

借入している住宅ローン

住宅金融支援機構の住宅ローンであれば、無条件で利用可能。

その他の金融機関の住宅ローンについては、本制度の利用を承諾された場合に限る。

住宅ローンの返済状況

原則として延滞していない事。延滞している場合は、融資金融機関の承諾が必要。

抵当権の設定状況

原則として融資金融機関以外の後順位抵当権が設定されていないこと。

返済方法の変更

家賃受取後の返済実負担額が、返済可能な金額の範囲内であること。

 

その他、ご利用にあたっては、JTIの職員またはハウジングライフプランナーによる説明、カウンセリングが必要になります。

将来の返済に関わるリスクを少しでも減らしたい方で、住宅金融支援機構の住宅ローンを利用する予定の方は、併せて本制度の利用もご検討くださいね。

 

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